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︎山五陶勝窯

profile

市野勝磯(いちのかつき) 

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市野勝磯(いちのかつき) 

創業1843年 七代目 
生まれ年:1973年
作陶開始年:1998年

学歴・修行歴
関西学院大学 卒業 
板橋廣美氏に師事 

主な受賞歴
2007年 朝日陶芸展 奨励賞 受賞 
2008年 田部美術館大賞 茶の湯造形展優秀賞 受賞

The state of the workshop

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Works

撮影:青谷 建

Interview

家業を核にアート視点を添えて辿り着いた、世の中を明るく照らす“暮らしとともにあるオブジェ”を提案する山五陶勝窯・市野勝磯のまなざし 

窯元として機械ろくろで成形したどんぶり鉢を制作し続けている山五陶勝窯(やまごとうかつがま)。7代目市野勝磯さん(以下、勝磯さん)は、窯元で長らく受け継がれてきた伝統や技術に並行して、個人作家として丹波の土を生かした、自由で深遠なアート作品を創作する日々で満ちている。 

すべてをアートとして捉える。目指すのは、自己表現と社会のニーズのまじわるもの

工房兼アトリエの小上がりに、勝磯さんがこれまで創作してきた大小のオブジェ、壺や花器が整然と並ぶ。丹波の山の土を使い、静かな佇まいながら、野趣にあふれ深みある色味をまとい、重厚でどっしりとした存在感を放っている。 

勝磯さんが現在、創作活動の「核」としているのは、こうした内から湧き上がるイマジネーションで形作られる、純粋な表現としてのオブジェだ。 

「若い頃は自己表現にとどまったアート作品として創作していました。次第に作るものに変化がうまれてきて、社会や世の中に受け入れられるものを生み出さないといけないと思うように。流行のものではなく、自分だからこそ作れて、かつ社会に求められているものを探っていきたいですね」  

模索から辿り着いたのは新しいコンセプト「暮らしとともにあるオブジェ」だ。オブジェの一部が花器として機能し、水や草花が合わさることで空間に潤いを与える作品。あるいは、企業の玄関やマンションのエントランスを彩る造形物。作品が置かれている空間で、それを見る人々がどう感じるかをいちばん大切に、勝磯さんは創作する。

「1日のはじまり、なにげなく私の作品が目に入って『今日も頑張ろう』と思えるようなものを作りたいですね。見た人を元気に、幸せにする。それがアートであり、表現の意味で、僕の核になっています」  

人情にふれ、芸術的な感性を育んだ子ども時代

山五陶勝窯は機械ろくろでどんぶり鉢を多く製造する大きな窯元で、勝磯さんが子どもの頃は職人が5〜10人も在籍していた。屋外には成形されたどんぶり鉢がびっしりと並べられて天日干しされていた。そのどんぶりの列の間を、ぶつけないように駆け回って遊ぶような少年時代を過ごした。

「10時と3時の休憩時間になると、むしろを敷いてみんなで集まって。職人さんに『かつきちゃん、おいで』と言われて一緒にお菓子を食べました。お菓子を落としても『べっちょない、べっちょない(大丈夫の意味の方言)』と、とにかくあたたかい環境で育ってきたことを思い出します」  

小学2年生からピアノを習うなど、芸術的な素養も自然と育まれていく。 

大学では経済学を学び、焼きものとは無縁の世界に身を置いていた。当時は家業継承への明確な意識はなく、両親も「自由にやればいい」という柔軟な姿勢だったという。

転機は大学在学中、絵画の先生を紹介され、油絵や水彩画を学びはじめたことだった。具象的なものよりも抽象的、心象的な表現に惹かれ、自己表現の奥深さに魅了される。卒業後はさらなる表現を求めて、武蔵野美術学園で彫塑を学んだ。 

さらに意欲が高まり、磁器を使った作品を作っている作家に師事し、2年間の修業を積む。丹波の土とは対照的な磁器を使った白いオブジェ制作の世界だったが、触発された。 

「帰郷してすぐは、家業よりもオブジェ制作に7〜8割の時間を割いていました。公募展で初めて入選したときは、ようやく自分が創作したいものが見えた気がしましたね」  

家業のどんぶり製造と、自身のアート活動。 

当初は勝磯さんのなかで別のものという位置付けだったものの、父が亡くなったのを機に双方の境界があいまいになり、捉え方に変化が生まれた。現在は、窯元を支え続けてきたどんぶり製造とオブジェの制作の両輪を「主の核」とする。 

また、主宰する陶芸教室の参加者が、成形されたどんぶりから自由に形づくる様子を見ていると「これもアートだ」と捉えられるようになった。 

おおらかに多彩な趣味を楽しむ 

一見、おっとりとした落ち着いた面持ちの勝磯さん。焼きものから離れると多彩な趣味を楽しむ。ピアノは今も楽しみの一つであり、クラシックからジャズまで幅広くたしなむ。夏には野球観戦にも出かけるほど行動範囲が広い。 

「球場で大きな声を出して発散するのは、いい息抜きになります」と笑う姿には、気負いのない等身大の生き方がにじみ出ている。 

「丹波立杭にいらしたら、ぜひ窯元巡りを。窯元というと堅いイメージがありますが、全然そんなことはなくて。作り手との距離が近く、気さくに話せるのが立杭の良さです」  

勝磯さんは、これからも窯元を支えながら、社会とつながるアート作品を模索し続けていく。 

Overview
of

︎山五陶勝窯 

Address

〒669-2135 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭2

陶芸教室

日常の器から大作まで、それぞれの個性を生かして、楽しく指導させて頂きます。
懇親会や作品展なども開催しており、交流を大切にしています。

体験可能日:毎月第1土曜日(1月は休みます)

受付時間:10時~13時

予約:必要

当日受付:お問い合わせください

<粘土細工>180分/1,500円+焼成代

・受入人数(最大):30名

・仕上り日数:約30日

※釉薬はご希望に添えます

<電動ロクロ>60分/1,500円+焼成代

・受入人数(最大):5名

・仕上り日数:約30日

※釉薬はご希望に添えます

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