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市野信行窯

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市野信行(いちののぶゆき)

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市野信行(いちののぶゆき)

創業53年 初代 
生まれ年:1953年
作陶開始年:1973年

学歴・修行歴
三田学園高校 卒業 
市野丹窓氏 市野弘文氏に師事 

主な受賞歴
兵庫県技能顕功賞 
伝統工芸士功労賞 
叙勲「瑞宝単光賞」 

The state of the workshop

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Works

撮影:青谷 建

Interview

「用の美」を追求し「ユニバーサルデザイン」にも挑戦。徹底して使う人の立場に思いを馳せる陶工、市野信行窯・市野信行 

使い手の声に応える「用の美」を追求 

市野信行さん(以下、信行さん)が、作陶においてもっとも大切にする姿勢は「用の美」だ。 

どれほど美しいうつわであっても、使われなければ意味がない。その持論を裏づけるように、信行さんは積極的に百貨店のうつわ売り場などに足を運び、一人の客として店員にトレンドやニーズをたずねている。 

「今は湯のみよりも、コーヒーやお茶がたっぷり飲めるマグカップが求められている」と知れば、伝統という枠にとらわれることなく柔軟に作品に反映させる。 

また売り場を観察しながら、あらゆる生活者の暮らしぶりも想像する。 

「世の中には左利きの人がたくさんいるのに、道具は右利き用ばかりだとわかったんです。試しに左手で使いやすい急須を作って並べてみたら、お客さんが『どこを探してもなかった、うれしいわ』と喜んでくださって。あの言葉は本当にうれしかったし、挑戦してよかった」 

「ユニバーサルデザイン」の視点を得たことで、さらに生活者の視点で多種多様な暮らしに寄り添う。これこそ信行さんが追求する陶工の在り方だ。 

信行さんは「伝統とは、守るだけでなく時代とともに作っていくもの」という哲学を持つ。70歳を過ぎた今も、若手の新しい試みに刺激を受けながら日々挑戦を続ける。 

母がつくってくれた陶工の道 

信行さんの記憶にある焼きものの風景は、家業を支え続けた母の背中だ。父が窯元を立ち上げたが、信行さんが10歳のとき、37歳で登り窯で焼いているさなかに急逝してしまう。それから母は他の窯元から「作る」仕事のみを一手に引き受け、女手一つで家族を養ったという。 

「長男でしたが、焼きものの道に進むつもりはありませんでした。性格を考えるとものづくりよりも事務方が向いていると思っていたので」 

高校卒業後は大学進学を希望したが、後に師匠となる市野弘之さんと母が、親戚の法事で再会する。「息子は長男やろ?どないしとるん?」という問いかけをきっかけにして、母と弘之さんの間で信行さんが陶工になる環境を整えていった。 

「陶芸の世界は、体力仕事なので自分には向かへんやろなと思っていました。当初は不安と葛藤を抱えながらこの世界に踏み入れましたが、今では道を作ってくれた母に感謝しています」 

いまでも初心に立ち返らせてくれる師匠の言葉 

「自分には美術センスがない」と自覚していた信行さんにとって、修業時代は暗闇を歩き続けるようなものだった。しかし、不安と迷いのなかで支えになっていたのは師匠である弘之さんの存在だ。 

あるとき無心でろくろを回していた信行さんに、師匠が「ええやん」とだけ声をかけた。信行さん自身はなにが良いのかまったくわからない。戸惑いながらも、さらに手を加えて形を整えようとすると師匠はさらに言葉を重ねる。 「なんでええ形を自分でつぶして、わるい方へ持っていくんや」。 

「作ろう作ろうと土をさわり過ぎることで、土が持つ本来の良さが消えてしまう。行き詰まったりつまずいたりするといつも、あのときの師匠の言葉を思い出します。師匠は、言葉にしなくても存在感だけで伝わる人でした。あんなふうに大きな人間になりたいと今でも思っていますが、足元にも及びません」

まっすぐに土と向き合えないとき、信行さんは潔く作業する手を止める。愛車の軽トラに乗り込んでドライブし、立杭の山々や川、田んぼの風景をながめながらリフレッシュする。 

「オンとオフの切り替えが大事。あせって作っても土に伝わってしまうから」。自然のなかに身を置いたあと、再びろくろの前に静かに座る。 

伝統とは、守るだけでなく時代とともに作っていくもの 

「陶芸が心から楽しいと思えるようになったのは、ここ10年のことなんです」 

それまでの四十数年は、「やらされている」という感覚がどこかにあったという。しかし、積み重ねてきた技術と、顧客との交流、そして自身の志がプラスの方向で一致した時に世界が変わった。 

「70歳を過ぎて体力は落ちましたが、心の充実は今がいちばん! 伝統とは、守るだけでなく時代とともに作っていくものだと思っています。若手たちの新しい試みに、僕自身も彼らに負けへんぞという意気込みを持ってチャレンジし続けたい」 

信行さんの今いちばんの癒やしは、愛猫たちとの時間だ。 「ろくろを回していると、猫が後ろから乗ってきたりしてね。とてもかわいくて、出かけても早く家に帰りたくなるんですよ」 

座右の銘は「一期一会」。信行さんは、定番イベントになった「丹波焼 陶器まつり」の発起人のひとりだ。立杭を訪れてくれるひとたちにより楽しんでもらいたいと、とくに冬の立杭に来てもらえるような催し物があればと思いをめぐらせていた。 

Overview
of

市野信行窯

Address

〒669-2141 兵庫県丹波篠山市今田町下立杭360

Website

陶芸教室

お客様の作りたい作品を手取り・足取り丁寧に教えます。
1人でもOKです。一緒に楽しみましょう。

体験可能日:火・木・土・日曜日
受付時間:10時~15時
予約:必要
当日受付:お問い合わせ下さい

<粘土細工>1~2時間/1,500円(700g)、2,200円(1㎏)
・受入人数(最大):7~8名
・仕上り日数:1ヵ月
※釉薬は3~4種類の中から選ぶことが出来ます

<電動ロクロ>2時間/3,000円~(1㎏)
・受入人数(最大):4~5名
・仕上り日数:1ヵ月
※釉薬は3~4種類の中から選ぶことが出来ます
※小さな器から大きな皿・徳利・花器等、何でも大丈夫です。

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