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丹水窯
profile
田中さとる (たなかさとる)

profile
田中さとる (たなかさとる)
七代目
生まれ年:1973年
作陶開始年:1999年
学歴・修行歴
1995年 大阪芸術大学附属大阪美術専門学校卒業
1997年 京都府立陶工高等技術専門学校卒業
1998年 京都府立工業試験場卒業

The state of the workshop
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Works


撮影:青谷 建
Interview
赤土を白く彩り、強さを宿す。丹水窯・田中さとるが粉引に込めた「日々を支えるうつわ」の形
ナチュラルで、素朴で、可愛い。毎日使いたくなる粉引のうつわ
丹波立杭の50軒ほどの窯元が軒を連ねるなかで、ひときわ穏やかで温かみがある、女性に「可愛い」と人気の白いうつわを生み出しているのが「丹水窯(たんすいがま)」だ。
7代目の陶工、田中さとるさん(以下、さとるさん)が手掛けており、「粉引(こひき)」と呼ばれる技法で作られている。丹波特有の赤い粘土の表面に白い泥を掛けて焼くことで生まれるその質感は、素朴でやさしく、使いこまれたアンティーク食器のような風合いをたたえている。
「見た目は繊細。それを気にせず毎日手に取りたくなるうつわを作っています」
そう語るさとるさんは「使い勝手」を徹底的に研究している。手触りの良さや軽さ、口当たりの調整といった面で「使いやすい」と多くのファンから支持を受けている。
そこに汚れにくさや壊れにくさも考慮されており、買った状態のまま長く使い続けたいという使い手目線を常に忘れない。

工房は遊び場、電動ろくろは遊び道具のひとつ
「小学校の低学年の頃かな。おじいちゃんの仕事場で、電動ろくろを勝手に回して遊んでいた記憶があります。おじいちゃんは厳しく言うこともなく、自由にさせてくれる人でした。自分なりになにか形を作ろうとしてみたり。子どもの頃、ろくろは遊び道具のひとつでしたね」
外でも自由奔放。山に囲まれた環境で、友達と近所の廃工場に入り込んで遊び、大人に叱られたこともある。やんちゃな少年時代を過ごした。
跡継ぎという意識はまったくなく、家業がやきもの屋である以上、なんとなくやるんやろうなあ、という感覚はあったという。さとるさんの心持ちに変化が訪れたのは、高校卒業後に陶芸学校へ進んでからのことだ。
「土の塊が、自分の思い通りの形になっていく。その過程が純粋に面白いと感じていきました。昔から図工や絵を描くのが得意なほうではなかった。でも、陶芸の作業自体には不思議に楽しさを見出せました」

丹波の赤土を白く染める。「粉引」という実験の繰り返し
「24歳で戻ってはじめて、家業のなかの自分の立ち位置はどこか、どんなものを作ればいいのか、ずっと探していました」
丹波焼といえば、焼き締めや自然釉由来の茶や黒の力強い表情が印象的だ。そのなかでさとるさんが選んだのは「粉引」だった。素地に白い泥をかけ、その上から透明釉をかける技法である。
粉引は本来、吸水性が高く汚れやすいという繊細な面を持つ。かつ丹波の土は鉄分を含むために赤く、白い表面に赤土の表情がわずかに透ける。さとるさんはその質感を生かしつつ、日常使いに耐えうる強さを追求した。使い手が気負いせずに日々使える道具へと昇華させるべく実験を繰り返したという。
「粘土や釉薬の組み合わせ、焼き方の調整。自分の目指す色や質感を出すために、ひたすら掛け合わせていく。化学の実験のような面白さなんですよね。自分が思う強さと、粉引らしい素朴で優しい雰囲気をどう両立させるか。試作しては自分で使い、使い心地を確かめて。その積み重ねで今の形になってきました」
ヨーロッパのアンティーク食器からもインスピレーションを受けているという。長年使いこまれてきたような独特の風合いを、どうすれば自身の技術で表現できるのか、挑戦しているそうだ。
「最近は、白化粧の濃淡で生まれる凹凸の表情に興味があります。新しい要素を取り入れるのは楽しいですし、ずっと考え続けてしまいます」

作陶中のBGMは、山下達郎
粉引のうつわの風合いのように、さとるさんの素顔もまた、親しみやすい。作陶中のおともに、大好きな山下達郎の音楽やラジオが流れていることが多いという。
「音楽を聴くと、気持ちが乗って作業できる。それがいい仕事に繋がる気がします。ライブにも行きたいんですけどね、チケットが全然取れないんですよ。ストレスしかたまらないですよ(笑)」
そう言って笑うさとるさんの人柄は、そのまま作品ににじみ出ている。実際に展示会や陶器まつりでは、女性のファンから「使いやすい」「可愛い」という声が多く寄せられる。

最後に、丹波立杭の楽しみ方について尋ねた。
「いちばんは山々の景色ですね。小学校まで1時間かけて歩いていた頃、季節の変わり目の匂いや雨が降る前の匂いを感じて育ちました。季節の景色を楽しんで、美味しいものを食べて、帰りに温泉に入ってとかどうでしょう。特におすすめなのは鶏料理。たたきとか最高に美味しいですよ」
等身大の生活を慈しむさとるさんは、これからも丹波の土で理想の白と質感、そして用の美を備えたうつわづくりを探求していく。
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丹水窯
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〒669-2135 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭篠尾口2-5
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