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丹泉窯
profile
市野清治(いちのきよはる)

profile
市野清治(いちのきよはる)
創業年1919年 三代目
生まれ年:1957年
作陶開始年:1977年
学歴・修行歴
専門学校卒業後瀬戸市赤津焼にて修業
主な受賞歴
2007年 第24回田部美術館 茶の湯造形展 奨励賞受賞 他
個展(百貨店、ギャラリー)横浜高島屋、大阪大丸心斎橋店、広尾ギャラリー旬、ギャラリー淡色野 など
1995年 日本工芸会正会員になる
2016年 兵庫県功労者表彰
2021年 経済産業大臣表彰

The state of the workshop
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Works


撮影:青谷 建
Interview
外へ出て、戻って、たどり着いた地元の温もり。丹泉窯・市野清治が選んだお客さんの笑顔を糧にする道
プレッシャーを手放し、お客さんの喜びを何よりの糧に
力強くもどこか洗練された表情を見せる焼き締めの花器。一方で、規則正しく刻まれた細かな溝がモダンな印象を与える線文(せんもん)のプレートやカップ。これらは丹泉窯3代目、市野清治さん(以下、清治さん)の歩みを物語る作品たちだ。
清治さんが現在、作陶において最も大切にしているのは、使い手が喜ぶ姿である。かつては、丹波焼の若き陶工として公募展や伝統工芸展に挑戦し、百貨店やギャラリーで個展を重ねる「陶芸作家」としての道を突き進んでいた。自分の個性を研ぎ澄まし、高い芸術性を追求する。しかし、その華々しい活動の裏側で、清治さんは人知れず葛藤を抱えていた。
「個展はものすごく苦しいんですよ。プレッシャーと責任感で。アートとしての価値も含めてお客さんは買ってくれはる。次はどんな作品が出てくるんやろうって。それに応えようとエネルギーを注ぎ続けるのがしんどなってしまって」

約10年前、清治さんは「陶芸作家」としてのプレッシャーから一線を退く決断をした。現在は地元・立杭のギャラリーでの販売を中心に、日々の生活に馴染む実用的なうつわ作りに専念している。かつては己の個性を表現するために土をこねていたが、今は「40代を中心とした若い世代のお客さんが、なにを選び、どう喜んでくれるか」に、自らの技術を捧げている。生み出されるうつわには、清治さんの美意識が、静かに宿っている。
「お客さんが暮らしのなかで使ってくれはって、喜んでもらえたらそれでいい。『いいうつわですね』って言ってくれるのが今はいちばんうれしい」

量産から個性の時代へ。家業外の世界に刺激を受けた30代
生まれたときから、やきものがあるのは当たり前の風景だった。祖父の時代は、壺などを担いで神戸へ行商に行き、お米と交換していたそうだ。父の代になると、かめや徳利などの大量生産の形態へと変わっていったという。
高校卒業後、清治さんは経理の専門学校で学び、その後、愛知県瀬戸市で2年間修業した。大量生産をしている窯元にお世話になった。
「家業を継ぐ。やらなあかんという認識やったな。景気が良い時代やったし、生活もしていけると思っていました」
22歳で立杭に戻った。父の大量生産の仕事を手伝っていたが、同年代の陶工たちが外部で学び、個性的な作品を生み出していくのを見て刺激を受けた。それを機に初めて個展に行き、多彩な作品を見ながら勉強するようになる。
「外へ出た人たちは京都や信楽で学んだことを糧に、すごいものを作っている。僕もやってみようと、30歳くらいから公募展に出すようになりました」
当時はまだ丹波焼の知名度が低く、同じ焼き締めの備前焼と間違えられることも多かったという。清治さんは外へ向けて”自分を売る”活動を始めた。SNSのない時代、百貨店やギャラリーでの個展が、産地と個性をアピールする手段だった。
30代から40代にかけて、清治さんは自分の作りたい表現を追求。形、色、釉薬の合わせ方。見る人の心に届くものを作りたいと試行錯誤した結果、高評価を受けて入選を重ねた。しかし、その道は苦しかったと話す。
「若い時は楽しかった。次から次へと、作りたいものが出てきて。でも、だんだん苦しくなってきた。経験だけで作るようになって、自分のなかから新しいものが出てこなくなったんです」
産地のつながりを次世代へ
そんな清治さんが今楽しみにしているのは、食事と温泉旅行だ。かつての趣味だったゴルフは腰を痛めて休止中だが、その分、美味しいものを食べ、のんびりした時間を過ごすことを大切にしている。
「京都の料理屋さんのような、雰囲気も含めて目でも楽しめる食事を提供してくれる店がいいですね。温泉旅行でゆっくり過ごすのもええね」
また、清治さんの娘・ちさとさんも京都で6年間陶芸を学び、独自の作風を確立している。父の重厚な作風とは異なる、柔らかく可愛らしい色合いのうつわを自由に作る姿を、清治さんはあたたかく見守っている。
丹波焼のこれからについて尋ねると、清治さんは産地の強みを語ってくれた。 「立杭は2キロ圏内にほぼすべての窯元が集まっている。この地理的な近さと横のつながりが丹波の強みです。若い世代がみんなで相談しながら、これからの丹波を盛り上げてほしい」
外の世界を見つめ、個性の追求に心血を注ぎ、プレッシャーと戦った35年。辿り着いた今の清治さんの手は、穏やかに軽やかに、使い手の笑顔を思い描きながらろくろを回している。
Overview
of
丹泉窯
Address
〒669-2135 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭 篠尾口2-6
FAX
Website
陶芸教室
駐車スペースも十分な「ぎゃらりーTANSEN」にて行っております。
初心者の方でもお一人様でも安心して参加して頂けます。
作品は、ガス窯・電気窯で焼成致します。
その他詳しくはご予約時にお知らせいたします。
体験可能日:お問い合わせください
受付時間:9時~15時
予約:必要
当日受付:お問い合わせください
<粘土細工>約90分/1㎏ 3,500円
・受入人数(最大):10名
・仕上り日数:約40日
※釉薬は数種類から選べます
※料金の中には釉薬代、焼成代、指導料等全て含まれております
<絵付け>約40分/湯呑 1,000円~
・受入人数(最大):10名
・仕上り日数:約40日
※料金の中には釉薬代、焼成料、指導料全て含まれております



