目次
丹文窯
profile
大西雅文(おおにしまさふみ)

profile
大西雅文(おおにしまさふみ)
創業年1902年 四代目
生まれ年:1980年
作陶開始年:2004年
学歴・修行歴
大阪芸術短期大学部デザイン芸術科工芸専攻 卒業
愛知県瀬戸市霞仙陶苑 加藤裕重氏に修行

The state of the workshop
スクロールできます









Works


撮影:青谷 建
Interview
計算できないから面白い。江戸の「赤」を追い求め、登り窯の炎と対話する丹文窯・大西雅文の飽くなきロマン
計算を捨て炎に委ねる。「奇跡の1個」を待つ登り窯の美学
tanbungama109のギャラリーは、不思議な空気に包まれている。一つひとつのうつわから放たれるのは、土そのものが持つ生々しいエネルギーだ。大西雅文さん(以下、雅文さん)の手がける作品には、生命のような色気があり、その官能的な佇まいに胸がときめく。
丹波の土と顔料を使い、登り窯で焼き上げられた作品はすべてが一点物だ。黒、白、赤といった自然釉が複雑に絡み合い、火中で灰が降りかかった「灰被り(はいかぶり)」の跡が、二つとない表情を生み出す。
「電気窯やガス窯ならある程度は同じものができます。でも登り窯は、焼き上がるまでどんな色になるか僕にも予測できない。薪をくべて灰が舞い、偶然うつわに付着してそのものだけの景色になる。その『計算できない面白さ』が、僕がこの道にのめり込んでいる理由なんです」

雅文さんが理想に掲げるのは、江戸時代の丹波焼に見られる「赤土部の艶やかな色」だ。「理想が100なら、登り窯で納得できるのはせいぜい60%。90%まで近づけたら奇跡です。でも、その1個を求めてまた窯を焚きたくなるんですよ」
かつては派手な景色のものを好んでいたが、30代を経て目指すものが変わった。現在は灰の装飾に頼りすぎず、土が持つ力をシンプルに引き出す表現を追求している。

「継がなきゃ」から「面白い!」へ。陶芸のストーリーに心動かされた修業時代
今でこそ情熱がほとばしる雅文さんだが、若かりし頃は家業を継ぐことに消極的だった。
「子どもの頃は、家にある大きな壺や鉢を作るイメージが全く湧かなかった。親父は地域活動で忙しく、僕は僕で美術やデッサンがものすごく苦手だったんです」
「継がなきゃ……」という消極的な動機で美術短大の陶芸を専攻し、愛知県瀬戸市で4年半の修業を積む。この日々が、雅文さんの心に火をつけた。
「兄弟子たちが、心底楽しそうにやきものを作っていたんです。山へ土を掘りに行き、精製し、自分たちで釉薬を作って焼く。素材を仕入れるところから、最後の焼き上がりまで、すべてを自分たちの手のなかで完結するストーリーにすっかり魅了されました。あの修業時代がなければ、今の僕は確実にここにいません」
修業を終えて24歳で戻ってきた雅文さんは、それまでの丹波焼にはなかった色彩や技法を積極的に取り入れた。当初は「これは丹波ではない」という声もあったが、伝統的な登り窯の技術と、自身の感性を融合させることで、誰も真似できない「大西雅文のスタイル」を確立させていった。

料理人が惚れ込む、使い手とともに育つうつわ
近年、丹文窯のうつわは料理人から熱い支持を受けている。和食だけでなく、イタリアン、フレンチ、寿司、焼き鳥など、ジャンルを問わずオーダーが舞い込む。
「使い手が自由な発想で、料理や空間を際立たせてほしい。実際に食べに行くんですが、僕の方が勉強させてもらうことばかりです」
雅文さんによると、登り窯で焼いた焼き締めのうつわ特有の楽しみ方があるという。「うつわを育てる」という感覚だ。
「最初はガサガサした質感でも、毎日使い続けると手の脂や水分でツルツルになり、独特の艶が出てきます。これを僕らは『育つ』と呼びます。時間が経つほどに、うつわは使う人の生活に馴染んでいくんです」
さらに、丹文窯では自社のうつわが欠けたり割れたりした場合、奥様が丁寧に金継ぎを施し、再び使い手の元へ返しているそうだ。直されたうつわは、修復跡が新たな景色となり、以前よりも愛着の湧く道具へと生まれ変わる。

生涯実験。マニアックな好奇心で、丹波焼の新たな景色をつくる
自らを「マニアック」と笑って話す雅文さんの目は、少年のように輝いている。
「一般的には『作品がある程度そろったから窯を焼く』と考えますが、僕は『早くテストしたい。だから焼くために作る』んです。新しい土を見つけたら、どんな色が出るか早く見たくてたまらない。年4〜5回は登り窯を焚きますが、毎回が実験です」
雅文さんにとって、丹波立杭という産地はかけがえのない場所だ。
「3キロほどの範囲に50軒以上もの窯元が集まっている場所なんて、世界中どこを探してもありません。秋には大勢のお客さんが歩いて窯元を巡る。その光景が立杭の誇りです」
伝統の看板を背負いながらも、既成概念にとらわれず、ひたすらに理想の色を追い求める。丹波の風土と雅文さんの純粋な好奇心が結晶化したうつわは、他にはない無二の個性を放ち続けていくだろう。
Overview
of
丹文窯
Address
【店】〒669-1341 兵庫県三田市西相野578-25
【tanbungama109】〒669-2141 兵庫県丹波篠山市今田町下立杭109
FAX
Website



