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延年窯
profile
市野正大(いちのまさひろ)

profile
市野正大(いちのまさひろ)
三代目
生まれ年:1978年
作陶開始年:2005年
学歴・修行歴
大阪芸術大学
京都陶工高等専門学校
京都窯業試験場

The state of the workshop
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Works


撮影:青谷 建
Interview
伝統と革新を「漆」で結ぶ。延年窯・市野正大が描く、日常に溶け込む用の美
伝統を更新する色と質感。漆を施した陶器のうつわ
丹波焼延年窯の3代目、市野正大(いちのまさひろ)さん(以下、正大さん)のうつわを手に取ると、まずその肌触りに驚かされる。陶器らしい土の温もりを残しながら、しっとりとなめらかなのだ。 白、赤、天然色を基調とした穏やかな色調は、日本人形のようなしとやかさと品があり、どんな料理も受け入れる懐の深さを感じさせる。
正大さんの作品の大きな特徴は、父から受け継いだ「陶胎漆器(とうたいしっき)」の技法にある。陶器の素地に漆を施すこの手法は、全国的にも珍しいものだという。
「漆の独特な質感や色味は、陶器の釉薬では出せない良さがあります。もちろん釉薬にも独特の魅力がある。その二つを組み合わせてみると、思いもよらぬ表情が生まれる。そこに面白さを感じて、色々試しながら遊んでいます」
そう語る正大さんは、創造性と実用性の両立させることを大切にしている。漆の独特の触感は、うつわ同士を重ねたときの当たりを和らげてくれる。そんな実用的な面にも着目し、制作に取り入れている。
「特別な時のためにと仕舞っておくより、日常で使ってもらいたい。日々の暮らしに自分のうつわがあるのがうれしいんです」。使い手の生活に寄り添える。そんな魅力が、正大さんのうつわからは感じられる。

漠然とした意識が、本物に。環境が変えた陶芸への意識
正大さんは窯元の家に生まれ、子どもの頃は、粘土で人形やロボットを作って焼いてもらい、それらを戦わせて遊んでいたのだという。
「父や祖父については『ろくろを回せば、あっという間にうつわができる。魔法みたいですごいことをしているな』と仕事風景を見ているくらいでした。将来については、やきもの屋の家だし、そのうち自分も陶芸をやるんだろうな、というぼんやりした意識はあったと思います」
その意識が変わったきっかけは、立杭を離れた学びの場にあった 。大学で陶芸を学んだ後、京都の陶工高等専門学校へ進学。そこには全国から集まった年下や同年代、一度社会人を経験してからやきものの道を志した30代まで、幅広い世代の仲間たちがおり、共に切磋琢磨することになった。
「みんな陶芸に本気で、そんな環境に大いに刺激を受けました。特に社会人経験のある人たちは、意欲があって、将来のビジョンもはっきりしており、勉強させてもらいました。あの環境がなければ、今の自分はなかったかもしれません」
幼い頃の体験と、京都で学んだ陶芸に対する意識を大切にしながら、丹波に戻った正大さんは、延年窯で日々作陶に励んでいる。

丹波篠山の山野の風景と、猫と過ごす素朴な日常
作陶の合間の休憩時間。正大さんは仕事場のベランダから、パノラマのような山野の風景を眺めてリフレッシュする。
「春夏秋冬、それぞれに趣がありますが、目の前の山並みが色づいていく秋の紅葉が一番好きですね。以前、近くの神社に大きな古木が立っていて、地域のシンボルとなっていて、それも好きだった。あの木を含め、丹波の風景は作家の美意識として、丹波焼の中に宿っているんじゃないかと思います」
古い丹波焼のうつわから、昔の丹波の風景を想像する。そんな楽しみ方もあるのかもしれない。
仕事を終えると、飼っている猫と遊ぶ。心身の疲れが癒えるひとときだ。「猫派というか、猫というだけで好きですね」と目を細める表情からは、温厚な人柄がにじみ出る。

最後に、丹波立杭の楽しみ方を聞いてみた。
「立杭から山を二つ越えたところにあるこんだ薬師温泉は、源泉かけ流しなのでおすすめです。丹波焼でできたお風呂もあるんですよ。窯元巡りを楽しんで、最後に温泉でゆっくり体を癒す。そうすればより丹波を満喫してもらえるんじゃないでしょうか」
漆という日本古来の技術で丹波焼を表現する正大さん。その穏やかな語り口からは、伝統を気負いすぎず、純粋に「作ること」を慈しむ職人の誠実さが伝わってきた。

Overview
of
延年窯
Address
〒669-2135 兵庫県丹波篠山市今田町上立杭449-1
TEL
FAX
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陶芸教室
森の中の陶芸体験。自然と楽しみながら製作いただきます。
体験可能日
月・火・水・金・土・日
受付時間:10時~15時
予約:必要
当日受付:お問い合わせください
<粘土細工>
90分/半日(90分)3,000円、一日(昼またぎ180分)5,000円 時間はいずれも目安
・受入人数(最大):10名(コロナ禍 6名)
・仕上り日数:45日
※釉薬は応相談
※粘土は基本使用自由ですが、常識の範囲での使用をお願いいたします
また、厚み等の問題で焼成困難な場合、製作時にアドバイスさせていただく場合がございます
<電動ロクロ>
60分/半日(90分)3,000円、一日(昼またぎ180分)5,000円 時間はいずれも目安
・受入人数(最大):3名
・仕上り日数:45日
※釉薬は応相談
※粘土は基本使用自由ですが、常識の範囲での使用をお願いいたします
また、厚み等の問題で焼成困難な場合、製作時にアドバイスさせていただく場合がございます


