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炎丹久窯
profile
清水豊和(しみずとよかず)

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清水豊和(しみずとよかず)
十代目
生まれ年:1960年
作陶開始年:1993年
主な受賞歴
2021年 兵庫県技能顕功賞 他

The state of the workshop
スクロールできます








Works


撮影:青谷 建
Interview
表面を全て削り取らず、ろくろ目と土の質感を残す。30歳からやきものを志した遅咲の陶工、炎丹久窯・清水豊和の探求心
指先が通った跡は自分らしさ。「あえて全て削らない」美学
炎丹久窯(ほのほたんきゅうがま)の清水豊和さん(以下、豊和さん)が生み出すうつわを手に取ると、どこか「生っぽさ」を感じる。
表面をなぞれば、おだやかな凹凸がゆるやかな起伏となって伝わってくる。一般的なやきものは、ろくろで形を作った後、乾燥させてから表面を削って美しく整える。しかし、豊和さんはその削りを極限まで抑える。
「ろくろを回している時の、指が通った跡……『ろくろ目』をね、できるだけ残したいんですよ。作った時の風合い、その瞬間の土の動きをお客さんに感じてほしい。だから、あまり削りたくないんです」
そう言って土をなでる手元を見つめる豊和さんの目は、慈しむように優しい。多くの陶工が「いかになめらかに削り落とすか」を磨くなかで、豊和さんはあえて逆を行く。それは師匠から受け継いだ技術を土台にしながらも、もがきながら見つけた“自分らしい”表現だった。

「うつわの周りをきれいに削ってまとめるのが、よく目にするうつわ。でも、僕はそれをしたくなかった。そこだけは、ようやく師匠の領域から脱却できたところかなと思っています」
削らないことで生まれる土の質感。そして、手に持つものは軽く、置いて使うものは若干の重みを残す。機能性を担保しながらも、機械では表現できない、人の手で生み出すからこその揺らぎが宿っている。それは画一的な美しさではなく、土そのものをそのまま形にしたようなうつわだ。

「父の代で終わらせていいのだろうか」。30歳、遅咲きの陶工への道
豊和さんがやきものの道に入ったのは30歳の時。代々続く立杭の地で生まれ育ちながら、「自分は陶芸はやらない」と別の職業に就いていた。
転機は、息子の誕生だった。自分の代で窯の火を消してしまっていいのか。先代が築き、本家の系譜を辿れば10代以上続くこの歴史を、次の代へ繋がなくていいのか。自問自答の末、従兄弟でもある師匠の門を叩いた。
「やきものは『作る』『削る』『釉(ゆう)がけ』『焼く』。この4つが揃って初めて成立します。どれか一つでも抜けていたらダメ。特に釉薬は、市販のものを使わずに自分で原料を調合して、納得いくまで試作を繰り返しました」
豊和さんは専門的に学んだわけではないからこそ、純粋な探究心を持って土と向き合ってきた。焼き上がりの窯を開け、「この色ええなあ」「次はこうしてみよう」と一喜一憂する。その積み重ねが、市販のブレンドでは出せない「炎丹久窯だけの色」を生み出した。
「丹波の土でしか出せない形がある。この土地の土でないと出ない色がある。“丹波立杭の清水豊和”でないとなし得ないものを、誰かの手元に届けたい。ただ、その一心でしたね」

DIY、オーディオ、地域活動。日常を彩る「創造」の悦び
豊和さんの素顔は、実に多才だ。趣味はDIY。自分の手に馴染む道具を自作し、古いオーディオを修理しては好みの音を奏でる。
「音楽を聴いて心が豊かになる。生活の中でうつわを使って心が満たされるのは、音楽を聴くこととほぼイコール。僕のなかでは延長線上にあるんです」
そんな豊和さんの人柄を象徴するエピソードがある。陶芸教室で講師を務めた際、ある生徒が持参したお気に入りのうつわが、実は数年前の陶器まつりで豊和さんから買ったものだったことが判明した。
自分の手を離れた作品が、誰かの日常を支え、愛されていた。その運命のようなめぐりあわせは、職人として最も報われる出来事だった。
「一度、陶芸体験で土に触れてみてほしいですね。ドロドロの土、舞い上がる粉。ここで作られているうつわはこんなふうに作っていると知ってもらえたら、やきものの見方が少し変わると思います」
豊和さんは今日もお気に入りの音楽を聴きながら、ろくろの前に座る。ろくろ目という「作った証」を、自分らしさという風合いとして残し、うつわを使う人の日常にぬくもりを添え続けている。
Overview
of
炎丹久窯
Address
〒669-2141 兵庫県丹波篠山市今田町下立杭9-4
TEL
FAX
陶芸教室
少人数、グループで楽しい陶芸をどうぞ。
個人レッスンもしています。
体験可能日:ほぼ年中無休
受付時間:9時~17時
予約:必要
当日受付:可能(お問合せ下さい)
<粘土細工>約60分/2,500円(600g)、3,500円(1㎏)
・受入人数(最大):6名
・仕上り日数:約40日
※釉薬は数種類から選べます
<電動ロクロ>約90分/4,000円
・受入人数(最大):2名
・仕上り日数:約40日
※釉薬は数種類から選べます
※靴、下半身は汚れても良い服装でお願いします



