目次
まるまつ窯
profile
松本格(まつもとただし)

profile
松本格(まつもとただし)
十代目
生まれ年:1987年
作陶開始年:2000年

The state of the workshop
スクロールできます










Works


撮影:青谷 建
Interview
家業の酒樽製造と食卓を彩る、まるまつ窯・松本格のうつわづくり。時代を読みながら、丹波焼らしさを守る

丹波伝統の赤土を生かし、和洋を問わず使える器を
工房には、大小さまざまな器が並ぶ。丹波特有の赤土を生かした温かみある茶系のうつわもあれば、若い世代に向けたツートーンのカラフルな色彩のうつわも置かれてある。まるまつ窯の松本格さん(以下、格さん)が現在、創作の軸としているのは、丹波焼らしさを残しつつ、今の時代に寄り添ううつわづくりだ。
「丹波焼らしさはやっぱり残しておきたい。赤土の特色を残しつつ、今の時代に合ったものを作っていく。和食器やけど洋食にも使えるような風合いのものが好まれますね」
格さんが大切にしているのは、手頃な価格にして、手軽に使ってもらえるうつわを作ることだ。
SNSで、まるまつ窯のうつわに意外な料理が盛られているのを見て、同じうつわでも使う人によって表情が違って見えることに発見があるという。
「気に入って使ってくれてはるのを見かけると、うれしくなりますね。お客さんの手に渡って初めて、うつわは完成するんやと思います」
丹波焼は有田焼や美濃焼のように量産できるような生産体制ではなく、どの窯元も規模が小さい。だからこそ、手作りの良さ、土の温かみがわかるのが魅力だ。
「丹波焼の知名度をあげて、より多くの人に使っていただきたい。それが丹波焼にとってもいちばんいいことだと思うので」と、格さんは穏やかに語る。

酒樽製造全盛期から、変化を見つめて育った少年時代
格さんは長い歴史を持つ窯元の継承者である。しかし、そのことに気負いは感じていない。
「たとえば、お父さんが八百屋さんをやっていたら八百屋が普通、というのと同じですね。特別なことではないです」
高度経済成長期の頃は、まるまつ窯の主力製品は日本酒の陶器製酒樽だった。工房内には石膏型で成形された様々なサイズの酒樽が所狭しと並び、何万個という数が製造されていた全盛期。格さんは工房に入って自然と手伝うようになり、酒樽の口にプラスチックのカバーをつけるような作業から始めた。
しかし、その勢いが失速していくに比例して酒樽の需要も衰退し、周囲の窯元は次々と酒樽の製造をやめていった。現在、5.4リットルと9リットルの規格の酒樽を製造しているのは、関西ではまるまつ窯だけだという。工房に大きな窯が残っているため、今も粛々と作り続けている。
「工房の動きや作られているものを見ていると、子ども心ながらに時代が移り変わっている空気感はわかりましたね」
格さんにとって家業を継ぐことは至極自然なことだった。高校卒業後は陶芸学校には行かず、そのまま家業に入り、父から直接技術を学んだ。最初の頃、特に難しかったのは酒樽の製造だったそうだ。
「フタと胴体が別なんですよ。この2つのパーツを合体させるときに、寸分違わずピタリと合わせてつけないと、焼き上がって検品すると漏れてしまいます。ちょっとしたことで隙間ができてしまうのが難しかったですね」
何度も失敗を重ねながら、格さんは前向きに取り組んだ。「初めから完璧にできる人はいないですからね、そのうちできると信じて体を動かしていました」と笑う。その気負いのなさは、修業を日々の業務として受け入れてきた継承者ゆえの強さかもしれない。
次第に食卓で使うような食器も作り始め、ラインナップを増やし、色彩も広げていった。
「昔ながらの丹波焼の、黒や茶色ばっかりでは受け入れてもらえない。伝統の良さも残しつつ、お客さんが使いたくなるような現代的なデザインのものも作っていかないと」
先人が築き上げてきた色と、今の時代に求められる色。どちらも大事にしながら、格さんはうつわづくりを続けている。

土の手触りを楽しむ、電動ろくろ体験が人気
近年、格さんが力を入れているのが陶芸体験だ。コロナ禍の時に工房の一分を個室に改装し、電動ろくろの体験スペースを整えた。
「昔は手回しのろくろの体験ばかりでしたが、今は電動ろくろのほうが圧倒的に人気です」
うつわの購入層は40〜50代が多いが、陶芸体験は20代の若い世代が多い。国内だけでなく、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど海外からの訪問者も増えている。
「土を触った瞬間、『気持ちいい!』と言ってはりますね。確かに、日常で土を触ることはないですもんね。一度体験してもらって、やきものに興味を持ってもらえたらいちばんいいなと思います」
立杭の楽しみ方としては「四季の移り変わりがわかるのがいいですよ。空気もきれいやし、夏の田園風景もいい。そして、陶の郷内の窯元横丁でお気に入りの窯元を見つけてもらって、実際にその窯元を訪れてほしい」と話す。
どこまでも自然体で気さくな格さん。気負うことなく、軽やかな姿勢で、丹波焼の魅力を訪れた人に伝えていく。

Overview
of
まるまつ窯
Address
〒669-2141 兵庫県丹波篠山市今田町下立杭46
TEL
FAX
Website
陶芸教室
電動ロクロ体験の個室を新たにリニューアルオープンしました。
冷暖房完備。駐車場もございます。
体験可能日:基本的に年中無休
受付時間:10時~17時
予約:必要
当日受付:可能
<粘土細工>約60分/1,800円
・受入人数(最大):100名
・仕上り日数:1ヵ月~2ヵ月
※お一人様から団体様までご利用可能です
<電動ロクロ>約30分~40分/3,000円
・受入人数(最大):20名
・仕上り日数:1ヵ月~2ヵ月
※釉薬は10色以上のサンプルから選べます
※電動ロクロ専用の個室を完備しております
<絵付け>約30分~/1,000円
・受入人数(最大):100名
・仕上り日数:15日
※湯呑、皿に絵付けしていただけます



